リース FO判定 簡易版
現在価値基準と経済的耐用年数基準から、ファイナンス・リースかオペレーティング・リースかを判定します。所有権移転の有無まで含めて表示します。
入力内容は送信されません。すべてブラウザの中で計算します2027年4月から、借手のFO判定はなくなります
新リース会計基準(企業会計基準第34号)が2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。借手はファイナンスとオペレーティングの区分が廃止され、原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上することになります。2025年4月1日以後開始する年度からの早期適用も可能です。
対象は主に上場企業や会計監査人設置会社で、中小企業は現時点では強制適用の対象外です。また、短期リースや少額リースには計上を免除する規定があります。
したがってこのツールは、①中小企業会計指針に基づく処理を続ける会社 ②適用前の期間 ③貸手側の区分で使うものとお考えください。新基準の下で使用権資産とリース負債をいくら計上するかは、Excel版が対応しています。
契約条件を入力する
単位は円。割引率は、貸手の計算利子率が不明な場合は追加借入利子率を入れてください。
classification
—
リース料の計算と逆算
ファイナンスかオペレーティングかが決まったら、次は金額の中身です。見積の月額から実質年率(金利)を逆算し、支払総額のうち物件代金がいくらで、それ以外がいくらかを分けます。金利を出すところまでは無料。リース会社の利益や、割賦・銀行借入・現金との比較まで見るなら、同じページのリース見積診断(1,000円)が対応しています。
金利を逆算してみる → Excel版2027年4月のオンバランスに、いくら乗るか
判定だけでは、決算にどう出るかは分かりません。新基準の下で使用権資産とリース負債をいくら計上し、減価償却費と利息費用が各期にどう配分されるか。FO判定と一括して計算するシートです。契約が何本もある会社ほど、事前に総額を掴んでおく必要があります。
noteで詳しく見る →| できること | この簡易判定 | Excel版 |
|---|---|---|
| 現在価値基準・耐用年数基準の判定 | ○ | ○ |
| 所有権移転の有無 | ○ | ○ |
| 使用権資産・リース負債の計上額 | — | 自動計算 |
| 減価償却費・利息費用の期別配分 | — | 償却スケジュール |
| 複数契約の一括処理 | 1件ずつ | 一覧で一括 |
| 短期・少額リースの免除判定 | — | 対応 |
| 仕訳例 | — | 収録 |
この判定の前提
従来のリース会計(企業会計基準第13号)では、リース取引を次の順序で分類します。この簡易判定も同じ順序をたどっています。
判定の順序
- 所有権移転の有無を見る:所有権移転条項、割安購入選択権、特別仕様物件のいずれかに該当すれば「所有権移転ファイナンス・リース」です。この時点で確定します。
- 現在価値基準:リース料総額の現在価値が、見積現金購入価額の
おおむね90%以上ならファイナンス・リースです。 - 経済的耐用年数基準:リース期間が経済的耐用年数の
おおむね75%以上ならファイナンス・リースです。 - どちらの基準も下回れば、オペレーティング・リースとなります。
2つの基準はいずれかを満たせばファイナンス・リースです。両方を満たす必要はありません。
90%と75%の意味
この2つの基準は、要するに「実質的に買ったのと同じか」を判定しています。支払総額の現在価値が購入価額とほぼ同じなら、金額の面で買ったのと変わりません。使用期間が耐用年数の大部分を占めるなら、使い切っているという点で買ったのと変わりません。形式は賃貸借でも、実質が売買なら売買として処理する。それがFO判定の思想です。
新基準が借手の区分を廃止したのは、この判定が形式的な線引きになりやすく、90%や75%をわずかに下回るよう契約を設計すればオフバランスにできてしまう、という問題があったためです。
この判定に含めていないもの
- 維持管理費用相当額の控除。実務では、リース料に含まれる固定資産税・保険料相当額を除いて現在価値を計算します。
- 残価保証がある場合の取扱い。
- 延長オプション・解約オプションを考慮したリース期間の見積り。
- 貸手側の会計処理(リース投資資産・リース債権)。
- 税務上の取扱い。会計上の判定と法人税法上のリース取引の判定は一致しないことがあります。
現在価値を、逆算に使う
FO判定は「判定する」だけの道具ではありません。逆に使うと、契約条件を設計するための道具になります。
現在価値基準は、リース料総額の現在価値が見積現金購入価額のおおむね90%以上かどうかで判定します。式を逆に読むと、「90%に相当するリース料総額はいくらか」が計算できるということです。
たとえば見積現金購入価額500万円の物件なら、現在価値で450万円がその境界です。割引率と期間を決めれば、そこから月額リース料の水準が逆算できます。このツールで月額を少しずつ動かし、現在価値が90%をまたぐ点を探してください。その金額が、判定が切り替わる境目です。
ただし、この使い方には注意が要ります。詳しくは下の「90%を避ける設計は、もう通用しません」で書きます。
割引率に何を使うか
現在価値の計算で最も結果を左右するのが割引率です。実務では次の順序で決めます。
- 貸手の計算利子率を知り得る場合は、それを使う。リース会社に開示を求めれば教えてもらえることがあります
- 知り得ない場合は、借手の追加借入利子率を使う。同じ期間・同じ金額を銀行から借りるとしたら何%か、という率です
ここで低い割引率を使うほど現在価値は大きくなり、90%を超えやすくなります。逆に高い率を使えば現在価値は小さくなります。どの率を使ったかで判定が変わり得るため、採用した率とその根拠は必ず記録に残してください。監査で最初に聞かれる箇所です。
維持管理費用相当額を引いてから計算する
実務では、リース料に含まれる固定資産税・保険料・管理手数料などの維持管理費用相当額を除いて現在価値を計算します。これらは物件の使用対価ではないためです。
この控除を忘れると、現在価値が実際より大きく出て、本来オペレーティング・リースとなる取引をファイナンス・リースと判定してしまいます。見積書の月額をそのまま使わず、内訳の確認が先です。内訳が分からない場合は、リース会社に区分を求めてください。区分できない場合の取扱いは、金額的重要性を踏まえて判断することになります。
リース料の内訳がどう分かれるかは、リース料の計算と逆算のツールと、リース料の中身は6つに割れるで整理しています。
90%を避ける設計は、もう通用しません
従来の基準では、現在価値を89%に収まるよう契約を設計すれば、オペレーティング・リースとしてオフバランスにできました。実際にそうした設計は広く行われてきました。
2027年4月以降に開始する事業年度から、この余地はなくなります。新しいリース会計基準では、借手側のファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分が廃止され、原則としてすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上することになるためです。
つまり、これから結ぶ長期の契約について「90%を下回るように」と考えることには、もう意味がありません。今から検討すべきなのは、判定の回避ではなく、オンバランス後にいくら乗るかの把握です。
オンバランスで何が動くか
| 項目 | これまで(オペレーティング) | 2027年4月以降 |
|---|---|---|
| 貸借対照表 | 載らない | 使用権資産とリース負債を計上 |
| 損益計算書 | 支払リース料(販管費) | 減価償却費+支払利息 |
| 自己資本比率 | 影響なし | 下がる |
| 有利子負債 | 増えない | 増える |
| EBITDA | リース料が控除される | 上がる(償却費と利息に振り替わるため) |
とくに注意が要るのが財務制限条項です。銀行との契約で自己資本比率や有利子負債の水準に条項が付いている場合、事業内容が何も変わっていないのに、会計基準の変更だけで抵触する可能性があります。
これは早めに銀行と話しておくべき論点です。基準変更による影響であることを事前に共有していれば、条項の見直しに応じてもらえる余地があります。決算が出てから相談するのでは遅くなります。
いま数えておくべきもの
2027年4月に向けて、まず必要なのは契約の棚卸しです。オフバランスにしてきた分だけ、社内のどこに契約書があるかが把握できていないことが多くあります。
- オペレーティング・リースとして処理している契約の一覧。件数、残存期間、年間支払額
- 不動産の賃貸借契約。事務所、店舗、倉庫、社宅。リースの定義に該当するものが含まれます
- 短期リース・少額リースに該当するもの。簡便的な取扱いが認められる範囲を先に切り分けておくと、対象が絞れます
- 延長オプション・解約オプションの有無。行使する可能性が高いかどうかで、リース期間の見積りが変わります
- 各部門が個別に結んでいる契約。複合機、車両、什器。総務・営業所単位で契約しているものが漏れます
棚卸しさえできていれば、計上額の試算は機械的な作業です。時間がかかるのは計算ではなく、契約を集める工程です。何をいつまでに数えるべきかは、新リース会計基準はいつから|2027年4月に全部オンバランスで整理しています。
実務メモ|判定で揉めやすいところ
信用調査や決算分析の仕事で多くの会社の会計処理を見てきましたが、リースの判定で解釈が分かれやすいのは、いつも同じ場所でした。
- 特別仕様物件かどうか。「その会社でしか使えない仕様」の線引きは、実際には曖昧です。汎用機に自社ロゴを入れた程度で該当するのか、生産ラインに合わせて設計したものだけなのか。判断の根拠を残していない会社が多くあります
- 割安購入選択権の「割安」の水準。満了時の買取価格が、そのときの見積公正価値と比べて十分に低いかどうか。ここも判断が要ります
- リース期間の見積り。延長オプションを行使する可能性が高いなら、その期間も含めて数えます。過去に実際どうしてきたかが根拠になります
- 再リースの扱い。慣行的に再リースを続けている物件は、当初のリース期間だけで判断すると実態と合いません
いずれも、結論そのものより「なぜそう判断したか」を文書に残しているかどうかが問われます。判定が割れること自体は珍しくありません。根拠のない判定だけが問題になります。
なお、会計上の判定と法人税法上のリース取引の判定は一致しないことがあります。損金算入時期や償却方法については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。
ご利用にあたって
本ツールの判定は一般的な基準による目安であり、個別の契約に対する会計上の結論を保証するものではありません。「おおむね90%」「おおむね75%」という基準は幅を持つ概念であり、境界付近では総合的な判断が必要です。
実際の会計処理は、契約書の内容を確認のうえ、顧問税理士・公認会計士にご相談ください。本ツールの利用により生じたいかなる損害についても、作成者は責任を負いかねます。